処方の裏にある“波形の物語”が見えるようになる一冊
薬剤師として日々の処方鑑査やフォローアップに関わる中で、なんとなく“できたらいいな…”と思いつつ後回しにしがちな知識ってありませんか?カルテの波形、患者のモニター、あのギザギザ、そしてリズムの変化──そう、**心電図(ECG)**のことです。
多くの薬剤師は「心電図なんて読めなくても業務に支障はない」と感じているかもしれません。しかし本書『薬剤師よ、心電図を読もう!』は、その常識をワクワクする学びの冒険へと変えてくれます。B5判の175ページにわたって、心電図の基本から臨床での活用まで、“理屈だけでなく現場で使える”知識がぎっしり詰まっているのです。
著者は循環器内科の第一線に立つ大八木秀和氏。本書は、薬局でよくある疑問や不整脈の診療に出会う度に、「もっとECGがわかれば…」と感じた薬剤師のリアルな声に応えるように書かれています。連載企画として人気を博した内容を、オールカラーで丁寧に再構築しており、初心者でも躓かずに読み進められる工夫が随所にあります。
「心拍数はどうやって数える?」「この波形の意味って何?」「医師の処方の意図はここにあるんじゃないか?」──そんな疑問を、主人公の薬剤師“ひろし”と一緒に解き明かしていく形式は、単なる教科書にはない物語のような楽しさを生んでいます。読むほどに、心電図という“言葉”が自分の手の内に入ってくる感覚が得られるはずです。
印象的なのは、ただ波形の読み方を覚えるだけで終わらない点です。「薬剤師としてどこまでECGの知識を使えるのか」「不整脈と治療薬のつながりはどうなるのか」という問いにしっかりと答えています。単に波形を読むスキルが身につくだけでなく、抗不整脈薬の使い方や医師の処方意図さえ手に取るように理解できるようになる。これは薬剤師としての臨床的な幅を一気に広げる力です。
臨床現場での実戦力を上げたい薬剤師、循環器系の薬物療法を深く理解したい薬剤師、そして医師とのコミュニケーションをより本質的にしたい薬剤師──すべての現役薬剤師に手に取ってほしい一冊。教科書を超えた“臨床のツール”として、あなたの知識が一段跳ね上がる瞬間を約束してくれるに違いありません。


コメント