認知症

興奮を抑えて、記憶を守れ ― メマンチンという異端の戦略

アリセプトだけじゃない。“記憶”ではなく“興奮毒性”に挑んだ認知症治療薬、メマンチンの物語。作用機序、臨床試験、BPSDへの応用、そして放射線から脳を守る意外な用途まで――薬剤師の知的好奇心を刺激する深掘り解説。
認知症

コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)徹底解説

アルツハイマー型認知症治療の出発点「コリン仮説」から始まった、ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミンの開発史と薬理作用を徹底解説。各薬の特徴、臨床試験のエビデンス、副作用、剤形の違い、実臨床での使い分けまでを網羅した薬剤師向け深掘り記事。
分類なし

シクロスポリン ― 免疫の扉を開いた、土壌からの奇跡 人類は、「命の境界線」を超えた

1980年代の移植医療を変えた「奇跡の薬」シクロスポリン。その発見は、北欧の土壌に眠っていた未知のカビから始まりました。研究者たちの執念と偶然が交差した創薬史の舞台裏を、薬剤師目線で深掘りします。
認知症

認知症と共に生きる社会へ ― 治療の本質とこれから【認知症まずはここからpart.7】

治療のゴールは記憶の回復ではなく、“人生の支え”かもしれない。認知症と共に生きる時代に求められるのは、薬だけでなくQOL支援・予防・共生社会づくり。抗タウ薬や血液検査による早期発見、生活習慣介入、地域ケア、薬剤師の新たな役割まで──認知症治療の本質とこれからの展望を、やさしく深く考察します。
認知症

抗体薬の時代がやってきた? ― 進行を遅らせる挑戦【認知症まずはここからpart.6】

認知症治療に“夜明け前の光”は差したのか──アデュカヌマブとレカネマブ、2つの抗アミロイド抗体薬がもたらした希望と限界。進行抑制という新たな目標に挑んだ開発史、副作用・高額な薬価・適応の厳しさなど、期待と現実のギャップもあわせてやさしく解説します。薬剤師や医療従事者が知っておきたい、「治せない病」への新たなアプローチの最前線。
認知症

怒り、徘徊、幻覚にどう向き合うか ― BPSD治療の進化史【認知症まずはここからpart.5】

怒り、幻覚、徘徊…認知症の「周辺症状(BPSD)」にどう向き合ってきたのか。ハロペリドールから非定型抗精神病薬、そして副作用への警鐘。さらにヴァリデーション、音楽療法、抑肝散まで──薬物療法と非薬物療法の進化史をひもときます。BPSDへの対応は、ケアの在り方そのものを問い直す歴史でもありました。現場で役立つ知識と視点を、歴史とともに振り返ります。
認知症

もう一つの道 ― メマンチンと“興奮毒性”への挑戦【認知症まずはここからpart.4】

「脳のブレーキ」として登場した認知症治療薬メマンチン。そのルーツは糖尿病治療薬の研究にあった──。グルタミン酸の“興奮毒性”に着目し、NMDA受容体をターゲットにしたこの薬は、中等度~重度アルツハイマー病に新たな可能性を開きました。この記事では、作用機序、開発の舞台裏、臨床での使い分け、副作用、コリンエステラーゼ阻害薬との併用効果まで、メマンチンのすべてをやさしく解説。認知症治療が“重度”へと踏み出した歴史的転換点をたどります。
認知症

記憶を守る ― コリンエステラーゼ阻害薬の登場【認知症まずはここからpart.3】

「母が自分を忘れた」──その痛みが、日本初の認知症治療薬ドネペジルを生んだ。アセチルコリン仮説に基づき、コリンエステラーゼ阻害薬が次々と登場した1990年代。記憶を守るために開発されたドネペジル、タクリン、リバスチグミン、ガランタミンの背景と臨床的な意義を、開発者の想いや作用機序、医療現場でのインパクトとともにやさしく解説。治療薬ゼロの時代から「希望を処方できる時代」へ──その転機を知る物語。
認知症

薬のなかった時代の認知症への対応【認知症まずはここからpart.2】

治療薬のなかった時代、認知症の人々はどう扱われていたのか?精神科病院での現実、ロボトミーや電気ショックといった過酷な「治療」、家族による介護、非薬物的な支援の工夫まで──ケアが主役だった時代の実態をたどります。
認知症

認知症は、いつから「病気」になった?【認知症まずはここからPart.1】

かつて“老化現象”とされた物忘れは、どうやって「認知症」という病名になったのか?アルツハイマー病の発見、そして「痴呆」から「認知症」への歴史的転換を、専門的かつやさしい語り口でひも解きます。認知症の本質を見つめ直す連載第1回。